9月27日(土)・28日(日)の2日間、東京・駒沢オリンピック公園中央広場で開催された「日韓交流おまつり2025 in Tokyo」。
今年のスローガンは「両手を携え、より良い未来へ」。日韓国交正常化60周年という節目にふさわしく、音楽・食・文化を通して両国が笑顔でつながるイベントとなった。ソウルと東京で毎年開催されている本イベントは、草の根レベルでの交流を育む場として、年々規模と注目度を増している。

■韓国を代表する歌姫ペク・ジヨンが、駒沢オリンピック公園に響かせた魂のバラード。

2日目の夜、会場の熱気が最高潮に達したのは、日韓アーティストによるスペシャルコンサートの時間。
オーディション番組『トロット・ガールズ・ジャパン』で発掘された歌姫たちから誕生した新ユニット「Sis/T」、 韓国男性デュオ「キルグボング」に続いて登場したのは、韓国を代表する歌姫、ペク・ジヨン。

デビュー25年を超えるキャリアを誇る彼女は、数々のドラマOSTやヒット曲で知られる“バラードの女王”。その登場を待ち望んでいた観客から、ひときわ大きな歓声が上がった。




■風の中で響いた、圧倒的な表現力

夕暮れの駒沢に、柔らかなピアノの旋律が流れ出す。1曲目は「彼女」。切なさと温かさが同居するその歌声が、会場を一瞬で静寂に包み込んだ。
ペク・ジヨンは声量で押すのではなく、言葉一つひとつに感情を込める。韓国語がわからなくても、聴く者の胸にまっすぐ届く情感がそこにはあった。
曲が終わると、観客の多くが息をつくのも忘れたように拍手を送る。

2曲目の「私の耳にキャンディ」では、雰囲気が一転。軽快なリズムとともに、彼女は笑顔でステージを動き回り、観客に手拍子を促す。
「もっと一緒に!」と声をかけるたび、客席のテンションが上がっていく。
ペク・ジヨンのステージには、長年トップで活躍してきたアーティストならではの余裕と、観客を包み込むあたたかさがあった。







■夜風とともに染み渡る、愛のバラード

「愛してない」では再び空気が変わる。夜風が吹く中、静かに始まるイントロ。彼女の歌声が重なると、会場のすべてが物語の中に引き込まれた。
失恋の痛みを描いたこの曲を、彼女はまるで人生の一部のように歌い上げる。時に苦しげに、時に優しく。
屋外ステージの風や音響の揺らぎさえ、彼女の表現を引き立てる要素に変わっていくようだった。

そしてラストを飾ったのは、ドラマ『IRIS-アイリス-』の主題歌として世界的にも知られる「忘れないで」。
イントロが流れた瞬間、会場全体から歓声が上がる。スクリーンに映し出される彼女の表情は真剣そのもので、力強くも儚い声が夜空に溶けていく。
最後のサビを歌い終え、感謝の言葉とともに深々とお辞儀、何度も手を振りながらステージを後にするペク・ジヨンに余韻に浸る観客からの拍手がいつまでも続いた。







■音楽がつなぐ、日韓の“今”

この日出演したSis/Tやキルグボングが、次世代のJ-POP、K-POPシーンの勢いを体現したとすれば、ペク・ジヨンは世代を超えて音楽の力を示した存在だった。年齢も国境も関係なく、誰もが共鳴できる歌。その本質を彼女のステージが教えてくれた。

「日韓交流おまつり」は、2005年に日韓国交正常化40周年を記念してスタートし、2009年からは東京とソウルで毎年開催されている。
文化や世代の違いを超えて互いを理解し、共に楽しむ——その理念は、今年のスローガン「両手を携え、より良い未来へ」にそのまま表れていた。
ペク・ジヨンの歌声が夜空に響いたあの瞬間、会場の誰もがその“未来”を信じることができたのではないだろうか。
音楽が国境を越え、人と人を結びつける。その力を、彼女は確かにこの夜、駒沢で証明してみせた。

Photo:ファイティン編集部

2025/10/23 15:33 配信
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